伊藤潤二 ギョ

ギョ (1) (ビッグコミックス)

ギョ (1) (ビッグコミックス)

私は自他共に認める怖いもの嫌いで、テレビの心霊特集だとかそういうのの音声を聞いただけでもマジ泣きしてしまうほどの情けないやつなのですが、この漫画だけは、これだけはと連載中必死に読んでいました。
伊藤潤二の他の作品は(怖くて)読んでないので知りませんが、きっとそれはもう恐ろしいものだと思います。そしてこの作品。とりあえずむっちゃくちゃ気持ち悪いです。それはもうご飯とか手につかなくなる感じです。そしてむっちゃくちゃ怖い。ちゃんとどうすれば読者を怖がらせることができるのか伊藤潤二はちゃんとわかっているのでしょう。追い詰められてどうしようもなくなったり、周りに誰も味方がいなくなってしまったり、最愛の人が敵になってしまったりととにかく容赦なく読者を恐怖のどん底まで陥れるのです。
だけどそれだけじゃない。私がどんなに怖くても読み進めてしまったのは最悪の展開や気持ち悪い描写の奥にあるどうしようもないような美しさに心打たれてしまったのです。
グロ好きとかそういう嗜好ではありません。この作品には本来日本の怪談話にあったような残酷さと、それに対象した氷のような美しさがあります。外国の方までは保障できませんが、日本人だったら絶対理解できるハズ!!ホラーがもはや芸術の域にまで達している作家は彼ぐらいなんじゃないでしょうか?