クラシックCDが異例の大ヒット

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050529-00000020-spn-ent(Y!ニュース)
ベスト・クラシック100
クラシック勉強してみたいけど、何から聞けばいいのかな。とか、クラシックってどんなのか試しに聴いてみようかな。とかそういう方にはうってつけのこのCD。まあこの手のCDは今に始まったワケではなく、かなあ〜り前から通販で売っていたり、他のところからも出ていたりしていたワケなのですが、今回は日本でクラシックといえばのEMI,しかも本当にビックリの6枚組み3000円という値段で、売れに売れまくっているらしいのです。
内容も多少「ベストになぜこの曲が?」みたいに思うときもあるのですが、演奏もまったく問題がないものなので、買って害はないと言えるでしょう・・少なくとも100均のクラシック名曲集とかいう恐ろしいCDよりはマシなことは確かです
これを期にいちクラシック好き(というかいまだに勉強中)な私も恐れながらクラシックを、セールスという視点から考えてみました。
クラシックのCDセールス界では「わかりやすく、難しくなく、親しみやすい」のをテーマにクラシックに興味のない層にアピールしているようです。
確かに、クラシックのイメージって難しいとかインテリとか金がかかるとかそんなイメージがあるんですよね・・
何を隠そう私も昔はそう思ってたタチなので、なんでいつの間にこんなに好きになってたのかなあ〜と思い出してみることにしました。
きっかけは「体験」したこと。
中学生の時クラシックとはいえませんが吹奏楽部に入部して、それから管弦楽器の創りだす音楽のすばらしさに目覚め、最初は吹奏楽曲から、そして次第にクラシックも聞くようになっていたのでした。
ただしクラシックCDをセールスするときにその「体験」をさせるとなるとだいぶ難しいことになります・・CDを売ることが目的なワケですからまさか人々を吹奏楽に入部させたりクラシック楽団にいれたりとかなんてできないワケですよね。
で、体験とは言わなくても、体験に似たような状況を作れないかなと考えてみました。
体験とは要するにそれまで具体的な情報は得ていずに、けれども興味を持ってそこに足を踏む入れようとすることが必要なわけです。
で、CDを売るときに難しい情報(●●楽団演奏とか、△△指揮だとか)を前面に表示せず、興味を持たせうる情報を提示してみたらどうでしょうか。
それで、一般に新しい未開拓の音楽を聴いてみようと思うときどんなことを参考にするかと考えてみますと、決して「だれが作曲のどういうジャンル」とかいう説明は全く知識がない人は遠ざけるだけで、惹きつけはしないと思ったんです。知りたいのは、「どんな音楽か」という情報ではないでしょうか。
たとえば今までレビューで紹介した「小島麻由美の"甘い恋"」だったら「甘い歌声、開放的な表現、恋愛の甘さや怖さをあくまで恋愛至上主義で・・」とか、「銀杏BOYZ"援助交際"」だったら「爆発するかのような恋する女性への思い、切なく相手を思う感情を素直に・・」みたいに、あくまで音楽の情報を提示すれば、たまには甘いカンジの恋を歌った音楽を、とか片思いの自分にシンクロしてくれる音楽を、とか思っている人に直に訴えることができるんじゃないでしょうか。
クラシックでは悲しいことに、そんな風に素直に売り出すことは殆ど無くて、一部のクラシックファンしかわからないような言葉だとか、知識を売り文句にしてしまったり、よくあるように「わかりやすくクラシックを勉強しよう」だとか、クラシックを親しんでもらおうとしてもらっている人たちが自らクラシックというジャンルを他のものたちと線引きしてしまっているのが現実です。
でも本当にクラシックを愛している、素直に好きなひとたちだったら、「この曲はこんな情景が浮かんできて、こんな気持ちになれる」とか「この曲はこんな時に聞きたい」とか音楽の感想を素直に表現できると思うんです。
その「音楽の素直な情報」をセールスの際一番に考えて売ることができればすぐには成果は現れなくてもきっと誰でも親しめるようになり、普通のCDショップでロックの横にポンと置かれちゃったりするような時がいつか来てくれるんじゃないかなあと思いました
クラシックをカンタンなものにしようとする風潮を嫌い、いまだに「クラシックは教養のあるわたしたちのような種類の人間のための音楽だ」なんて言う方がいるそうですが、多くのすばらしいクラシック音楽を作ってきた音楽家たちに果たしてそんなことを望んでいた人がいたでしょうか?確かにわかってもらえない人もいるかもしれないし、音楽の好みは様々だから万人受けなんてものは考えてはいなかったかもしれません。でも、一部の人たちが勝手にクラシックを別のところにさも大事にしまってしまい、新たなファンを増やすことを阻止してしまうような状況は決して望んではいなかったでしょう。
音楽は誰かに聴いてもらって、誰かに感動を与えなければ、その存在意義をもたないハズです。楽譜だけではその価値をなさず、息を吹き込んでもらわなければ生きたものにはならないのです。
好きだからこそ、その音楽が多くの人に親しまれることを私は望みます。
だから、これからのクラシックセールス界がどうなっていくのか非常に興味があります。
好きな音楽を誰かに聴いてもらいたいっていう素直な気持ちでセールスしてくれれば意外にカンタンにいくんじゃないかなあ・・と思ったのでした。