結婚願望 山本文緒

結婚願望 (角川文庫)

結婚願望 (角川文庫)

文学と言うにはまた違うものである気がしますが、まあもともとその境目もよくわかんねーやってことでこの作品です。
山本文緒のいわゆる結婚観というものをまとめたものなのですが、最初に述べておきますと、まあよくある具体的なデータだとか統計だとかをしっかりととったもでもないし、理論的学術的に結婚について推測していったものでもないので、悪い言い方をしてしまえば「いち女性の根拠のない結婚観を語ったもの」となると思います。しかし、それだけで終わらないのがこの作品なのです。
確かに私が結婚観について友達の話やらなにやらをまとめたところで1円の価値も無いと思いますが(というか非常に不愉快)、この作品はあの女性の恋愛やら喪失やらを描かせたら天下一品である山本文緒が書いたものなのです。研究所的なものを求めるなんてナンセンスなわけで、女性作家ならでは、山本文緒ならではの結婚観という名の軽快なストーリーを読むことができます。これって一種のひとつのテーマにそったオムニバスとも呼べるんじゃないでしょうか。結婚する前、結婚を考え始めたときに是非また読み返してみたい一冊です。