龍は眠る 宮部みゆき

龍は眠る (新潮文庫)

龍は眠る (新潮文庫)

大好きな宮部みゆきの初レビューです。緊張緊張。
スティーブン・キングを愛する彼女による、「超能力者」を扱ったミステリーです。ミステリー!私はこの作品をそう読んでいいのかどうか抵抗があります。もちろんミステリーと呼ぶにふさわしいぐらい謎や知性にあふれていて申し分がないと思うのですが、ミステリーというジャンルだけでは片付けられないほど、この作品(彼女の作品はすべてそうだと思いますが)は文学としての質が高いと思うのです。人物の魅力、人間描写、どれをとってもその完璧さには驚かされます。そして、特筆すべきは随所に現れる彼女のはっきりとした強い意志です。殺人事件や超能力者の苦悩を描きながら、その中で彼女は読者に思いを語っているように思えます。その点においてはまた回を重ねて書こうと思います。