空中庭園 角田光代

空中庭園 (文春文庫)

空中庭園 (文春文庫)

映画化されてたんですね。知らなかった・・・まだ公開はされていないのですが、でも監督が例のアレで捕まってしまったので公開長引くそうですね。ショックです。
というわけでいろいろな意味でタイムリーなのでこの作品を。
「普通」の「幸せ」な家族ってのはどんなものなのかハッキリとわかる人なんているのでしょうか。どんな家族が「普通」でどんな家族が「異常」なのか?そんなことどうやってわかるのでしょうか。誰にとっても家族っていうのはひとつしかないワケで、それが自分の両親、姉妹などという血や何かの縁で結びつかれたものであるという以上、もう他の家族に更に所属するということはできないわけで、自分の家族はひとつだけです。
そう考えると、この作中に出てくる家族のように、自分たちの家族が第三者から見て異常であるなんてことはなかなか考えられない。家族という特殊なものに属している人間。あなたの家族を「普通」の家族だと言い切れるだろうか?この作品はある家族の彼らにとっての家族、第三者から見ての異常というものをえぐ〜く描き出したものです。読後感は暗い重いっていう人もいるけれど、私はなんだか肩が軽くなりました。家族に対して変な理想を抱いていて重荷になっていたものがふと抜けた感じでした。異常だってなんだって、なかなか家族っていいもんじゃないか、と。