最終兵器彼女 高橋しん

最終兵器彼女 (1) (ビッグコミックス)

最終兵器彼女 (1) (ビッグコミックス)

実は最初普通にラブストーリーがあるものかと思って読んでいたのです。なんか最終兵器彼女ってすっごい惚れちゃったとか、そういう意味の形容なのかなあ、いいセンスじゃんみたいな。
そしたら、1巻の終盤で恐ろしいことになるわけです。
有名なマンガなので隠すこともないので書きますと、要するに「彼女が最終兵器になっちゃった」、と。
作者自身もあとがきで「彼女が最終兵器だったらやだなー」とぼーっと考えていたことが始まり、と語っていますが、そんなのほんとにいやです。女でもわかります。
で実際に起こってしまったというストーリーがこれなのです。
彼女の戦闘シーン満載のアクション漫画が始まるのではありません。
本当に、切なくて切なくて仕方がないラブストーリーです。
戦争や、最終兵器のことなんて本当は関係なく、ただただ二人の恋を描いた漫画です
結局人間てこうなんだ、だからこそ愛しいって思えるんだと気付きます。
この漫画の主人公はシュウジとちせで、世界もなにもかも違うけれど、本当に心から恋をしているひとはみんなこの漫画の主人公なんじゃないかと思います。
重いだとか萌えだとかなんだかがくっときちゃうような言葉で片付けられちゃうこともあります。
でも、大げさかもしれないけどこんなに人間賛歌をし(人間の醜い部分を提示しながらも)、2人の恋人をあたたかい視点でさしているこの漫画に、否定するわけではないけれど、それだけの言葉で済ませることは私にはできません。

自分も本気でいつかこんな恋ができるなら、その日までは寿命が尽きることさえないような気がしてきます。